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発達障害の子どもの障害児入所支援とは?内容・方法・手続きについて
2019/02/12
「障害児入所支援サービス」を利用したいけれど、どうしようか……とお考えではないですか?発達障害のお子さんは、施設に通うことで支援を受けられる「通所支援」だけでなく、施設にステイすることで支援を受けられる「入所支援」を受けることもできます。しかし、具体的にどのようなものか、よく分からないので利用を迷っているという方は多いでしょう。
そこで今回、障害児入所支援とはどのような内容で、どのようなサービスが受けられるのかということや、サービスを受ける方法などを取り上げてみました。
- 障害児入所支援とは?
- 発達障害の障害児入所支援について
- 発達障害の障害児入所支援サービスの受け方
- 発達障害の障害児入所支援についてよくある質問
この記事を読むことで、障害児入所支援についてのいろいろなことがお分かりいただけるでしょう。ぜひお役立てください。
1.障害児入所支援とは?
障害児入所支援とは、どのようなもので、どのような目的があるのでしょうか。
1-1.障害児入所支援とはどのようなものか?
障害児入所支援とは、児童福祉法第42条に基づいて作られたサービスおよびその施設のことです。サービスには、「通所支援」と「入所支援」の2種類があります。
- 障害児通所支援:お子さんがサービス施設などに通いサービスを受ける
- 障害児入所支援:お子さんがサービス施設に入所してサービスを受ける
そして、入所支援の内容は「福祉型」と「医療型」に分かれます。後の項で、それぞれの内容などについて詳しくご説明しましょう。
1-2.障害児入所支援の目的とは?
障害児入所支援の目的は、入所したお子さんの保護をするとともに、日常生活に必要なトレーニングを受けたり知識や技能を身に付けたりすることです。
2.発達障害の障害児入所支援について
障害児入所支援サービスを提供している施設には、どのような種類があるのでしょうか?そこで受けられるサービス内容なども含めて見ていきましょう。
2-1.障害児入所支援施設の種類とサービス内容
障害児入所支援施設には、大きく分けると「福祉型」と「医療型」の2種類があり、受けられるサービスはそれぞれ異なります。
2-1-1.福祉型障害児入所施設
福祉型障害児入所施設は、お子さんの保護と自立に向け日常生活で必要なトレーニングや知識・技能を身に付けられるように支援する施設です。厚生労働省の29年度調査では、全国で263施設あります。福祉型の施設で受けられるサービスには、以下のようなものがあります。
- 介護サービス:食事・トイレ・お風呂などを介護する
- 相談支援:お子さんが日常生活を送る上での相談や助言をする
- 機能訓練:身体面や日常生活での能力維持・向上のための訓練プログラムを提供する
- 社会活動参加支援:仲間と一緒にレクリエーション活動などをして社会生活をする場所を作る
- コミュニケーション支援:社会生活を送る上で必要な「聞く」「話す」、しぐさなどコミュニケーションを身に付けるための支援をする
2-1-2.医療型障害児入所施設
医療型障害児入所施設は、福祉型障害児入所施設で行うお子さんの保護、日常生活で必要なトレーニング、知識・技能を学ぶ支援のほか、専門医療やリハビリテーションの提供なども行うのが特徴です。厚生労働省の29年度調査では、全国で212施設あります。医療型障害児入所施設で受けられるサービスには以下のようなものがあります。
- 疾病の治療看護:カテーテルを使った経管栄養や呼吸管理など、医療行為に相当する行為
- 医療的管理の下における食事・入浴・トイレなどの介護:食事をして口から栄養をとるのが難しい・トイレでの用足しが自力では難しい・入浴を1人で行うのは困難などの場合、医学的な管理の下で介護や支援を行う
- 日常生活上の相談支援・助言:お子さんが日常生活を送る上での相談や助言をする
- 身体能力、日常生活能力維持・向上のためのトレーニング:関節可動域のトレーニングやポジショニングなどの理学療法、食事・着替え・学習活動ほか作業療法などのリハビリテーション
- コミュニケーション支援:社会生活を送る上で必要な「聞く」「話す」、しぐさなどコミュニケーションを身に付けるための支援
2-1-3.そのほかのサービス
障害児入所施設では、お子さんの年齢が18歳(場合によっては20歳のこともあり)になった際、ほかのサービスへの移行をサポートします。また、地域社会で生活をスムーズに行えるような支援や連帯なども行っているのです。
3.発達障害の障害児入所支援の受け方
発達障害のお子さんが、障害児入所支援のサービスを受けるにはどうしたらいいのでしょうか。対象となるお子さん・利用方法・手続き方法などを見ていきましょう。
3-1.障害児入所支援の対象になる児童
福祉型・医療型問わず、共通して障害児入所支援サービスを利用できるのは、以下の児童になります。
- 身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)のある18歳未満の児童
- 1の人で、児童相談所・市町村保健センター・医師などから「療育(※)」の必要性が認められた児童
この障害児入所支援サービスは、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を取得しているかどうかは関係ありません。
※療育:障害のある子どもの発達を促進して、自立し社会生活が円滑にできるように支援・援助をすること。それぞれの特性に応じ、福祉的・心理的・教育的・医療的なサポートを行う
3-2.医療型障害児入所支援の対象になる児童
医療型障害児入所支援の対象になるのは、前項の「身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)のある18歳未満の児童」で、なおかつ以下に当てはまる児童です。
- 知的障害のある児童
- 肢体不自由のある児童
- 心身障害があり、その症状が重い児童
上記の判断については、児童相談所・市町村保健センター・医師などによって行われます。
3-3.18歳以上はどうなるのか?
障害児入所支援の対象が「18歳未満」の児童ということは、18歳以上になるとどうなるの?と思われる人は多いでしょう。18歳以上の場合は、児童福祉法から「障害者総合支援法」が適用となります。障害児入所支援サービスを利用中に18歳を迎えたら、「2-1-4.そのほかのサービス」で触れたように、障害者総合支援法によるサービスへの切り替え支援を受けられるのです。
3-4.障害児入所支援の利用方法は?
障害児入所支援の利用の流れは以下のようになっています。
- まずは、お住まいの市区町村にある児童相談センターや児童相談所に相談
- サービスを利用したい施設が決まったら、児童相談所に利用申請をする
- 児童相談所では、利用者の障害の種類や程度を調査
- 支給を決定し、福祉型障害児入所施設の場合は「受給者証」、医療型害児入所施設の場合は「受給者証」と「医療受給者証」が交付される
- 4を利用する施設に提示して利用申し込みをし、契約を結ぶ
- サービス利用の開始
3-5.障害児入所支援の利用費は?
障害児入所支援施設の利用料は、世帯の所得に応じた負担があります。
3-5-1.障害児入所支援施設の負担上限額
原則として、障害児入所支援施設の利用者負担は、サービスの提供に必要な費用の1割負担となっています。しかしながら、費用が支払えない世帯のことも考慮して、「所得に応じた上限額」を設定してあるのです。つまり、1か月にたくさんサービスを利用しても、基本的には上限月額以上の自己負担はかかりません。
負担上限月額は以下のようになっています。
- 生活保護世帯(生活保護受給世帯):0円
- 低所得世帯(市町村民税非課税世帯):0円
- 一般1(市町村民税課税世帯/所得割28万円未満):9,300円
- 一般2(上記以外):37,200円
※収入がだいたい890万円以下の世帯が対象
(厚生労働省HP:障害者福祉「障害児の利用者負担」より)
このほかに、食費や光熱費などの実費が必要です。実際の金額は、各自治体などにお問い合わせください。
4.発達障害の障害児入所支援についてよくある質問
発達障害の障害児入所支援に関する、よくある質問をまとめてみました。
Q.入所サービスの施設は「福祉型」と「医療型」の2種類だけなのですか?
A.以前は、知的障害児・自閉症児・盲児・ろうあ児・肢体不自由児・重症心身障害児などに分かれていました。平成24年児童福祉法改正により施設・事業の一元化が図られ、入所支援施設は「福祉型」と「医療型」の2種類となったのです。
Q.福祉型障害児入所施設では外出や外泊はできますか?
A.事前に外出・外泊届を出せば可能です。特に、小さなお子さんの場合は、トレーニングや治療に良い影響を与えることもあるので推薦している施設もあります。詳細は、各施設にお問い合わせください。
Q.福祉型障害児入所施設の見学は可能ですか?
A.実際にサービスを利用したいと考えている人を対象に、予約制で日にちを決め、施設の見学やサービス内容の説明などを行っている施設もあります。児童相談センターや児童相談所にサービスの利用を申し込むときに、見学希望を伝えてみてはいかがでしょう。
Q.発育障害の子どもへの支援で、通所による支援と入所による支援はどのように違うのですか?
A.入所支援は、「2-1.障害児入所支援施設の種類とサービス内容」でご説明した内容で、通所支援には以下の種類があります。
- 未就学の子どもに療育を行う児童発達支援
- 児童発達支援および治療を行う医療型児童発達支援
- 就学中の子どもに、生活能力向上トレーニングなどを行う放課後等デイサービスおよび保育所
- 支援員が来所し支援を行う保育所等訪問支援
Q.福祉型障害児入所施設では、子どもが楽しめるようなイベントなどもあるのですか?
A.施設によって詳細は異なりますが、クリスマスのような、季節のイベントのほか、レクリエーション・外出・旅行・お祭りなど、楽しめる企画がいろいろ行われています。
まとめ
発達障害のお子さんのために「障害児入所支援サービスを受けようかどうしようか迷っている」という保護者の方は少なくありません。そこで、そもそも障害児入所支援とは何か、どうすればサービスを受けられるのかなどの情報を集めてみました。
お子さんの発育障害にしても、利用できるサービスにしても早め早めの相談が大切です。早めに相談することにより、お子さんの特性に合った環境で、のびのびと成長でき、よい部分を伸ばすことができます。児童相談センター・児童相談所・発達障害者支援センター・市区町村保健センターなど、利用しやすい場所に相談することから始めてみてください。