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自閉症の子どもに見られる特徴は? よくある行動と関わり方のポイント
2017/10/31
「自分の子どもが自閉症かもしれない」「どのように関わればいいのかわからない」このようなお悩みを抱えていませんか? 自閉症は脳の神経回路の異常が原因といわれており、自閉症の子どもには共通した特徴があります。
そこでこの記事では、自閉症の子どもに見られる特徴や関わり方のポイントなどを見ていきましょう。特徴を理解し関わり方を工夫することで、お子さんが今後抱える問題を減らしてあげることができるはずです。
- 自閉症について
- 自閉症の子どもに見られる特徴は?
- 年齢による特徴
- 自閉症の子どもとの関わり方
- まとめ
1.自閉症について
自閉症は発達障害の一つです。はっきりとしたメカニズムは解明されていませんが、育った環境や親のしつけ方などが原因で起こるものではないことは明確にわかっています。現在のところ、生まれつきの脳機能の働きが原因という説が有力です。
症状は、大きく「対人関係の障害」「言葉とコミュニケーションの障害」「こだわりや興味のかたより」の3つに分けられています。特に、集団生活を送る上で困難を感じることが多く、場合によっては支援が必要となることもあるでしょう。
2.自閉症の子どもに見られる特徴は?
自閉症の子どもに見られるよくある行動や感覚についてまとめました。
2-1.よくある行動
学校や家庭でよくある行動や特徴などを見ていきましょう。これに当てはまるからといって自閉症ということではありません。あくまでも一例ですので注意してください。
2-1-1.学校でよくある行動
自閉症の症状には個人差がありますが、学校生活においてよく見られる行動には以下のようなものがあります。
- 友達や先生とどのような距離感で付き合ったらよいのかわからない。
- 漢字の読み書きは得意だが、ひらがながわからない。
- こだわりが強く、興味のない授業を受けるのが困難。
- 時間割の急な変更などに対応できない。
- 周囲が騒ぐ声に対してパニックを起こしてしまう。
- 偏食がひどく、給食をほとんど食べることができない。
- 授業中、立ち上がって歩き回ってしまう。
2-1-2.家庭でよくある行動
家庭においては以下のような行動がよく見られることがあります。
- 学校での出来事を一方的に話す。
- 一人遊びばかりしている。
- 抱っこされることを極端に嫌がる。
- 欲しいものがあると母親の手を道具にして取ろうとする(クレーン現象)。
- 朝着る洋服に必要以上にこだわる。
- 睡眠時間が短い。
2-1-3.社会行動や日常生活の特徴
自閉症の子どもは、自分のペースを乱されることを極端に嫌がります。そのため、集団行動を送ることに困難を感じやすいのです。また、こだわりを持つことで心を安定させ、こだわりが達成できないとパニック状態に陥ります。そのため、周囲からは単なる「ワガママ」と誤解されてしまうことも多いでしょう。自分で決めたルールを極端に守ろうとするため、融通がきかず臨機応変な対応が難しいのが特徴です。
2-1-4.会話やコミュニケーションの特徴
人とコミュニケーションを取る場面でも、自閉症の特徴が見られます。自閉症の子どもは、相手が家族であっても視線を合わせることが苦手です。人に興味を持つことが難しいこともあり、誰かと一緒に遊ぶことよりも、一人でいることを好む傾向にあります。いわれたことをそのまま繰り返す「オウム返し」をすることが多いのも特徴です。
2-2.感覚について
自閉症の子どもには感覚障害が多く見られます。特定の音や光・肌ざわり・歯ごたえなどの感覚に対して極端に敏感、または鈍感という特徴があるのです。たとえば、電車の音が苦手で乗車できない、歯ごたえが苦手で特定の食べ物を食べることができないなどということもあります。こういった感覚障害は、周囲からは気づきにくいものです。
3.年齢による特徴
幼児期・児童期・思春期ごとに見られる自閉症の特徴をまとめました。
3-1.幼児期
自閉症の症状に気づき始めるのは、3歳ごろまでの幼少期に多いといわれています。もちろん、症状の現れ方が軽い場合には気づかないこともあるでしょう。しかし、日常生活に支障をきたすような症状が見られる場合は、早めに専門機関へ相談することをおすすめします。幼児期に現れやすい自閉症の特徴は、以下のとおりです。
- ほかの子どもに興味を示さない。
- 欲しいものがあるときに指をさして要求する。
- まったく目を合わせようとしない。
- 特定の音が聞こえると耳をふさぐ。
- 名前を呼んでも反応しない。
3-2.児童期
児童期になると、学校生活における特徴的な症状に気づくことが多くなります。偏食が多いために給食を食べることができず、お弁当を持って登校する子どもも少なくないでしょう。また、基本的に集団行動を苦手とする傾向にあります。
3-3.思春期
思春期になると、友達とのコミュニケーションにも空気の読み合いが必要になってきます。相手が何を考えているのかを想像することが苦手なため、コミュニケーションがスムーズにいかないなどの問題に直面することもあるでしょう。
その一方で、興味のあることにはとことん没頭し、その分野で大きな成果をあげることもあります。
4.自閉症の子どもとの関わり方
自閉症の子どもが起こす行動への対応方法やポイントなどをまとめました。あくまでも一例ですのでご注意ください。厳密にいえば、一人一人の子どもに合わせた対応をする必要があります。
4-1.よくある行動への対応方法
自閉症の子どもによくある行動に対しての対応例をまとめました。
4-1-1.やって良いこと・悪いことを理解しづらい
自閉症児の中には、一見わざとかと思うほどに困った行動をとる子どももいます。しかし、こうした行動は「周囲が困る」という認識が不足した結果であることがほとんどです。
やっていいことと悪いことをわかりやすくルール化し、文字や言葉で繰り返し伝えることで理解を促しましょう。曖昧な指示や皮肉は理解することが難しいので注意してください。
4-1-2.突然パニックを起こしてしまう
自分のこだわりにそぐわない状況や見通しが読めない状況など、いつもと違う状況に立たされたとき、不安に襲われ泣き叫んだり暴れたりといったパニック行動を起こすことがあります。
このとき、無理に押さえ込んだりするのは逆効果です。投げたりしないよう周囲に危険なものがある場合には遠ざけ、静かに見守りましょう。あらかじめ本人が落ち着ける場所を用意し、パニックを起こしたらその場所に移動させることも有効です。本人が落ち着いたら優しく声をかけ、なぜパニックを起こしたのか本人の気持ちを探り、安心して過ごせる環境を整えていきましょう。
4-1-3.友達に順番を譲ることができない
友達と遊具で遊んでいるときなどに、順番を次の子に譲ることができない子どももいます。これは悪気があるわけでなく、夢中になって周りの状況が見えてなくなってしまうことが主な原因です。
このとき、無理にやめさせたり長々と説教をしたりしても理解してもらうのは難しいでしょう。本人が遊ぶ順番がくる前に、あらかじめ回数や時間を設定し、後何回で終わりと簡潔に伝えておいてください。そして、約束を守れた場合にはしっかりと褒めてあげましょう。
4-2.特徴を理解すること
自閉症の子どもと関わる上で最も大切なのは、その特徴を理解することです。自閉症の子どもが起こす特徴的な行動には、その子にしかわからない「意味」があります。そういったものを理解しないまま、ただ感情的にいうことを聞かせようとするのは逆効果です。たとえば、自閉症に見られるこだわりの強さは、短所でもあり長所でもあります。無理に直そうとするのではなく、そのこだわりを認めて伸ばしてあげる方法を考えていきましょう。
4-3.伝え方のポイント
自閉症の子どもの中には、言葉の遅れが見られる場合もあります。そのような子どもは、指示を理解するのが難しいでしょう。そこで、ポイントは「短く簡単な言葉で伝える」ことです。イラストを使ったりジェスチャーを取り入れたりして、視覚的に説明する方法もおすすめします。
4-4.学校での対応方法、協力関係について
学校生活においては、わかりやすい教材を使ってできるだけ簡潔に指示することが望ましいでしょう。ヒントを出すなどして手助けをし、できたときにはしっかりとほめてあげることが大切です。
そういった対応を受けるために、事前に担任の先生に連絡帳や口頭などで配慮を求めておきましょう。学校と家庭がしっかりと連携を取るなど、協力関係をうまく築くことも重要です。
また、通常学級で過ごすことが難しいお子さんの場合には、特別支援学級や特別支援学校という選択肢もあります。
5.まとめ
いかがでしたか? 自閉症の子どもに見られる特徴や、学校・家庭での関わり方などを考えてみました。自分の子どもに自閉症の疑いがある場合、自閉症と診断された場合、親御さんは戸惑いを感じるはずです。早めに周囲の人や専門機関に相談をし、障害と向き合うためにはどうしたらよいのか、考えてみましょう。