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アスペルガー症候群の子どもに見られる特徴や適切な関わり方とは?
2017/11/29
「子どもがアスペルガー症候群ではないかと指摘された」「アスペルガー症候群を疑っている」このような悩みを持つ親御さんもいると思います。アスペルガー症候群は知的な遅れや言語の遅れがないため、素人が判断するのは難しいでしょう。しかし、早めに気づいて適切な対応をしてあげることで、子どもが抱えるストレスを減らすことは可能です。この記事では、アスペルガー症候群の子どもに見られる特徴やよくある行動、周囲の関わり方などを見ていきましょう。
- アスペルガー症候群の基礎知識
- アスペルガー症候群の子どもの特徴
- よくある行動
- 年齢による特徴
- アスペルガー症候群の子どもとの関わり方
- まとめ
1人で悩んでいる親御さんは、ぜひこの記事を参考にしてください。
1.アスペルガー症候群の基礎知識
まずは、アスペルガー症候群についてまとめました。
1-1.アスペルガー症候群とは?
アスペルガー症候群は、発達障害の中でも「広汎性発達障害」に分類されます。知的な遅れや言語の遅れがないため、気づかないまま大人になる人もたくさんいるのです。特徴は大きく3つあります。
- 対人関係の障害
- コミュニケーションの障害
- パターン化した興味や活動
特徴の表れ方には個人差がありますが、最近は幼児期から注意深く見守ることでその兆候に気づくパターンも増えてきています。
1-2.原因について
アスペルガー症候群は生まれつきの脳機能障害が原因で起こるものと考えられています。後天的な要因によって発症するわけではないため、親のしつけや育った環境などは関係ないのです。「育て方に問題があったのではないか」などと誤解されることも多いと思いますが、そのようなことは決してありません。
2.アスペルガー症候群の子どもの特徴
アスペルガー症候群の子どもに見られる特徴についてまとめました。
2-1.全体的な特徴
アスペルガー症候群の子どもには、全体的に以下のような特徴が見られます。
2-1-1.コミュニケーションの問題
相手の表情や行動の変化などが読み取れず、勘違いしたり傷ついたりしてしまいます。また、思ったとおりに発言してしまうことが多く、反感をかってしまうことも少なくないでしょう。
2-1-2.対人関係の問題
集団生活の中で場に合わない発言をしてしまうことがあります。その結果、自己中心的だと誤解されてしまうこともあるでしょう。人を傷つけてしまい、対人トラブルが起こる恐れもあります。
2-1-3.限定された物事へのこだわり、興味
「自分で決めたルールを忠実に守ろうとする」「興味のあることに関して夢中で話し続ける」などの様子が見られがちです。また、興味のある物事に関しては非常に高い集中力と記憶力を発揮します。
2-2.具体的な特徴
ほかにも、具体的な特徴として以下のようなものが見られることもあります。
- 場の空気を読むことが難しい
- スケジュール管理が難しい
- 想像力が乏しい
- 話をするときに相手の目を見るのが苦手
- 言葉に抑揚がない
- 文字や記号などを覚えるのが得意
- 独特な才能を持っている場合がある
3.よくある行動
アスペルガー症候群の子どもによくある行動をまとめました。
3-1.幼稚園や学校でよくある行動
幼稚園や学校では場にそぐわない発言をすることも多く、周囲から浮いてしまいがちです。興味があるものに対して1人で没頭してしまうため、集団で遊ぶことを苦手とします。また、基本的に人の気持ちを理解するのが苦手で、悪気なく相手を傷つけてしまうこともあるでしょう。時間割の変更や休み時間の短縮など、いつもと違う出来事があると対応するのが難しく、混乱してしまいます。
3-2.家庭でよくある行動
家庭では、興味のある物事に関して家族にひたすら話し続ける様子がよく見られます。また、他人との関わりを持つことが困難なため、公園などに行っても他の友達と一緒に遊ぶことは少ないでしょう。
3-3.日常生活における特徴
アスペルガーの子どもによく見られる日常生活の特徴には以下のようなものがあります。
- 親にも目を合わせられない
- 抱っこされることを嫌がる
- 同世代の子どもより大人と会話することを好む
- 年齢のわりに大人びた言い方をする
- 同時に2つ以上のことをするのが苦手
- 好きな分野に関する記憶力や集中力に長(た)けている
4.年齢による特徴
アスペルガー症候群の特徴は年齢ごとに変化します。成長過程に合わせてまとめました。ただし、これらに当てはまったからといって、アスペルガー症候群と断定することはできません。自分で判断せず、医師に相談してください。
4-1.赤ちゃん
アスペルガー症候群は、乳児期から特徴的な行動が見られる場合も少なくありません。たとえば、音に敏感なため「騒々しい場所に連れていくとずっと泣いている」という赤ちゃんも多いでしょう。また、「目を合わせられない」などの特徴もあります。喜怒哀楽があまり見られず、人に笑いかけることがない場合がほとんどです。
4-2.幼児期
同世代の子どもに興味を持たず、公園などの遊び場に連れていっても1人遊びを好みます。また、物事を教える際には何度も同じことを説明する必要があるでしょう。同じことを注意されても、毎回なぜ叱られているのか理解できません。
4-3.小学生
すでに決められている一定のルールを守ることを得意とします。逆に、法則性のないことに従うのが苦手なため、集団生活においてつらい思いをすることが多くなるでしょう。周囲と協調することが苦手で、孤立してしまうことも少なくありません。
4-4.中学生以上
周りから浮いてしまうことで「学校に行きたくない」という気持ちになりがちです。学習面でも困難に感じる場面が増えてきます。得意な科目は好成績を出すことができますが、苦手な科目の授業にはついていくのが困難になることもあるでしょう。
5.アスペルガー症候群の子どもとの関わり方
アスペルガー症候群の子どもとどのように関わっていくべきなのか、伝え方のポイントや学校での対応などについてまとめました。ただし、すべての子どもに当てはまるわけではありませんので、あくまでも参考程度にお考えください。
5-1.よくある行動への対応方法
アスペルガー症候群の子どもによくある行動に対して、どのように対応すべきなのか見ていきましょう。
- 一方的に話し続ける:「次はお母さんが話す番です」「話を聞いてください」など、はっきりと指示をする
- 場の空気を掴むのが難しい:「こういうときはこうします」というように、パターン化して教える
- 何度も同じ間違いを繰り返す:冷静に繰り返し教える
- パニック状態に陥る:1人になれる場所に連れていき、落ち着くのを待つ
- 体を触られることを嫌がる:触る前に声をかけ、こちらに注意を向ける
5-2.特徴を理解することが大切
アスペルガー症候群の子どもと関わる上で、最も大切なのは特徴を理解することです。アスペルガー症候群は、本人の努力が足りないために起こるものではありません。周囲の理解を得られないままだと、誤解を受けることも多く、生きづらさを感じることが多いでしょう。不登校や引きこもりなどの二次障害を引き起こさないためにも、周囲がその特徴を理解してあげることが大切です。
5-3.ほめ方・伝え方のポイント
アスペルガー症候群の子どもをほめるときや何かを伝えるときのポイントは以下のとおりです。
- 一つずつ指示をする
- 具体的に伝える
- 短く指示をする
- イラストや写真を一緒に見せる
- 否定的な言葉を使わない
- 前もって予定を伝える
- よいことをしたときは思いきりほめる
- 結果より過程を認めてほめる
5-4.学校での対応方法、協力関係について
アスペルガー症候群の子どもは、勉強の得意不得意の差が激しく出ます。そのため、学校でもその子に合わせた学習方法ですすめてあげることが大切です。本人が勉強しやすい環境を作るために、担任の先生以外にも補助の先生がつくことが望ましいでしょう。必要であれば、特別支援学級での対応も検討することになります。アスペルガー症候群の子どもが学校生活を送りやすい環境を作り出すためには、学校との協力関係をしっかりと結んでおくことが必要です。
6.まとめ
いかがでしたか? アスペルガー症候群の子どもに見られる特徴や適切な関わり方などをまとめました。アスペルガー症候群は簡単に判断することは難しいでしょう。しかし、周囲がその特性を理解することで、本人のストレスを大幅に減らすことができます。ぜひこの記事を参考にして、アスペルガー症候群への理解を深めてください。